
病気とケガのサイン
人間は体調が悪いと、自分で薬を選んだり病院に行ったりしますが、犬はそのようなことはできません。
その一方で、人間のように我慢したり、おおげさに言ったりもしません。
足が痛ければ足を引きずりますし、お腹が痛ければ食事を食べないでしょう。
病気やケガは早期発見が何より大切であることは犬も人間も同じです。
ですから、犬の小さな変化を飼い主さん自身が見逃さないようにすることが必要なのです。
しかし、一日中愛犬の行動を監視しているわけにはいきませんし、毎日1時間もかけて体の隅から隅まで診察するように見るわけにもいきません。
そのためには日ごろからいくつかのポイントについてチェックし、正常な状態を感じておくのがよいでしょう。
「何かちょっと変だぞ?」という飼い主さんの“気づき”こそ一番大切なものなのです。
(1)目
健康な犬の瞳は適度に潤んで、きらきらとした輝きがあります。
瞳は体の水分や脂質やビタミンなどが不足すると乾燥したようになり、瞳から力や美しさがなくなるのです。
また、下痢や嘔吐、時には熱射病などで脱水症状になった時にも乾燥します。
白目の部分にも注目してください。白目の部分が赤く充血していたり、複数の血管が浮き出ていたりする場合にはアレルギーなどの結膜炎の可能性があります。
目をショボショボさせて開けにくそうな時には、目の中に草の種などが入ったか、目を突いて傷ができている可能性があります。
黒目の奥が白く見えるときには白内障が進行していることが考えられます。目やにが多いときには白目が赤くないかチェックしてください。
《Point 》
◆乾燥した目 :脱水、脂質やビタミン不足
◆白目の充血・血管が浮き出る:結膜炎、アレルギー
◆ショボショボ目・黒目の傷:角膜炎、外傷、異物
◆黒目が白い:白内障
(2)鼻
健康な犬の鼻を触ってみると少し冷たくうっすらと湿っています。
しかし、寝起きなどでは乾燥していることも多いので、乾燥しているかなと思ったら、しばらくしてもう一度触ってみることです。
ただし、鼻は敏感なところですからできるだけやさしく触れてください。 鼻が乾きっぱなしの時にはひび割れたり、乾いた皮膚がこびりついたりしているので分かりやすいでしょう。このような時には継続する熱があったり、免疫系の病気にかかっていることがあります。 犬はいろいろなものを調べる時に、まず鼻を近づけてにおいを嗅いで調べます。
ですから鼻先はキズができやすいので注意してください。
鼻水が多い時には、それが水バナか、ねっとりした青バナかを見てください。
特に青バナの時にはできるだけ早く病院で詳しく見てもらうほうがよいでしょう。
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鼻で調べる健康状態
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*左右がきれいに対称になっている。
*鼻の通りが悪い方の穴は小さく、よい方は大きく鼻の穴があいている。
*左右が対称でなかったり、鼻水が出ている時は、外傷や腫瘍が考えられる。
(3)耳
健康な犬の耳の中はきれいでにおいもありません。綿棒などで掃除すると、うっすら茶色いものが付くくらいは正常です。
また、耳の内側は薄いピンク色で光沢がありつるつるした感じです。
耳が汚れることは病気のサインです。汚れとともににおいがあれば外耳炎の可能性があります。耳の内側が赤く腫れぼったい感じがする時にも注意してください。
普通は少し硬い感じがする耳たぶがプヨプヨして風船のように膨らむことがあります。
これは耳たぶに血液が溜まっている状態で治療が必要です。 見た目に異常はなさそうなのに、犬がバタバタと頭を何度も振る時には、耳の奥に虫や種が入っていることがあります。時には耳の縁にダニが付いていたり、毛玉ができていたりすることもあります。
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健康な犬の耳の中
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*汚れもなくきれいで、においもない。
*耳の内側は薄いピンク色で光沢があり、つるつるした感じ。
《Point 》
◆耳垢で汚れた耳:外耳炎
*黒や茶色の耳垢
*赤く腫れた耳の内側
*ぶつぶつができ出血しているところもある。
◆耳の内側が風船のように膨らむ:耳血腫
*耳たぶが、プヨプヨして風船のように膨らむ。
◆頭と耳をやたらと振る:耳の縁のダニや耳の穴の中の異物(種、綿、毛玉など)
*見た目に異常ななさそうなのに、犬がバタバタと頭を何度も振る。
(4)口
健康な犬の口臭はわずかで、舌の色は赤く、歯ぐきもピンク色です。
歯は白く輝いて歯石も付いていません。暑い時には水のようなヨダレがたくさん出ることはあります。
しかし、ねばりけの強いヨダレが多い時には口内炎などの可能性があるので要注意です。
食事をするのに時間がかかるようになったり、右や左に頭を傾けて食べるようになった時には口の中に異常がある時です。たとえば、口内炎ができたり、歯が抜けそうになっていたり、時には口の中に骨や枝がひっかかっていることもあります。
もし、口の中に何も見つからなくてもヨダレが続いている場合には食道に異物が詰まっている可能性もありますので、すぐに病院に相談してください。
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健康な犬の口の中
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*口臭はわずか。
*舌の色は赤く、歯ぐきもピンク色。
*歯は白く輝いていて歯石も付いていない。
《Point 》
◆ヨダレ:暑くもないのにヨダレがポタポタと落ちる時には食道に異物が詰まっている可能性がある。ねばりけの強いヨダレが多い時には口内炎などの可能性。
◆頭を傾けて食べる・噛みにくそう:口内炎、ぐらつく歯、骨や枝などの異物がある。
◆口臭が強い:歯石、口内炎、異物
(5)体重の増減
体重は摂取したカロリーと運動量とのバランスでコントロールされています。
一般的に体重が増えた場合には肥満が考えられますが、肥満以外でも腹水が溜まってお腹だけが大きくなった場合にも体重は増えます。
また、体に大きなしこりができたり、むくみで体重が増えることもあります。しっかり食べているにもかかわらず、次第に体重が減少している場合はガンや心臓病、腎臓や肝臓の病気などの慢性的に進行する病気が考えられます。若い犬の場合には消化管寄生虫の感染や胃内異物で痩せることがあります。
また、肥満であった犬が急激に痩せてきた時には、糖尿病が考えられます。
肥満だけではなく痩せることにも十分注意してください。
◎あなたのワンコ肥満度チェック!◎
愛犬の肥満度をチェックする簡単な方法として、ボディ・コンディション・スコア(BCS)があります。BCSはその犬が太っているのか、痩せているのか、それともちょうどよいのかを調べる目安です。BCSは3が標準であり、4が肥満、5が重度の肥満、逆に2が痩せ気味、1が痩せすぎです。それを判断するのには特別な道具は必要ありません。
見た目と触った感じで決められるのです。
1番目のポイントは上から見た時にウエストがあるかどうかです。
ウエストがあれば3以下、ウエストとヒップが同じなら4、ウエストがヒップより出ていれば5ということになります。
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ボディ・コンディション・スコア(BCS)
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BCS1…痩せすぎ「皮下脂肪がなく、肋骨や腰骨が浮き出て見える。」
BCS2…痩せ気味「皮下脂肪がごく薄く、肋骨や腰骨を簡単に触れる。」
BCS3…標 準「わずかな皮下脂肪で覆われ、肋骨や腰骨を触ることができる。」
BCS4…肥 満「外見はなだらかな輪郭で厚みがある。骨格はかろうじて触知可能。」
BCS5…重度肥満「厚い脂肪に覆われ、骨格はほとんど触知できない。」
(6)体重の増減
健康な動物の姿は美しく、動作はなめらかで無駄がありません。
のんびりとした犬の落ち着いた様子は安心感を与え、活発な犬は生き生きとしたバイタリティを感じます。歩き方、食べ方、水の飲み方、寝かた、あくびの仕方など、いつもと違った動作をした時はすぐに観察してください。決まった場所や決まった状況で、その動作を繰り返すような場合には体全体を触ってみることが必要です。トゲが刺さっていたり、ダニがついていたり、小さな切り傷があったりすることがあります。
そのような時には気になる場所をよく舐めるので、舐める場所を重点的にチェックするとよいでしょう。
歩き方がいつもと違う時には足の裏のパットと指の間を調べてみてください。皮膚が赤くなっていたり、石が挟まっていたりすることがあります。
また、年を取った犬の関節は硬く動きにくくなっていますから、ちょっと無理をしただけで足を上げて歩いたりすることがあります。(肉球にトゲが刺さったり小石が挟まっていませんか?)
(7)飲食・飲水
食べることは大きな喜びですから、食欲があれば与えられた食事は数秒から1分以内になくなるのが普通です。水は気温や運動の影響を受けるので一定ではありませんが、食事をしている場合には、目安として1日に必要なカロリーの半分程度の水を飲むのが普通です。例えば1日に1,000kcal必要な犬の場合、その半分の500mlの水が必要になるわけです。(食事から半分ほどの水分を摂るのが普通ですから、もし、食事を食べない時にはカロリー量と同じ水が必要になるのです)。
食べるのに時間がかかるようなら口の中をチェックしてください。歯ぐきが赤く腫れたり、歯がぐらついたりしていることがあります。与えられた食事をまったく食べない時には、便の状態や歩き方など他に異常がないかどうかを調べます。
元気もあり、他の症状がなければ1日様子をみてもよいでしょう。犬が食べたり食べなかったりする波があるのは正常なので、翌日になってガツガツと食べれば大丈夫でしょう。
暑くもないのに、水をいつも以上にガブガブとよく飲む時には子宮の病気や糖尿病、腎臓病の可能性があります。
(8)排便
健康な時の便は形があり、光沢のあるもので、色は茶色から黒っぽいものまでさまざまです。便の状態を決めるのは食べ物、消化液の量、消化管の運動性の3つのバランスですから、そのいずれかが異常を起しても便の状態は変化します。
しかし、消化管にもある程度の余力がありますから、異常を起してからすぐに下痢になるというわけではありません。ごく最初はいつもの便と違った色の便が出ることが多いので、その段階で注意しておくのがよいでしょう。
回数の標準は1日1〜3回ですが、この回数は散歩の回数にも関連します。
5日以上、排便が見られない時には便秘を起している可能性があります。排便時の様子にも注意してください。スムーズに排便できない時には下痢はもとより、便秘や会陰ヘルニア、前立腺肥大、膀胱炎などを起している可能性があります。
(9)排尿
健康な尿は薄い黄色ですが、オスはメスよりも色が濃いのが普通です。排尿量は飲んだ水の量に比例していますが、人間と違って計ることが難しいので、日ごろの排尿回数と排尿時間を覚えておくと目安になります。尿の色がコーヒーの色のように極端に濃くなったり、赤い色をしている時には膀胱炎や中毒、ケガなどの可能性があるので速やかな治療が必要となります。
また、排尿に時間がかかり過ぎたり、何度も排尿姿勢をとること、ポタポタと尿を漏らすことも異常です。膀胱炎や尿路結石症、時には腫瘍などが考えられます。排尿の姿勢を長くとっているにもかかわらず尿が出ない時は緊急事態です。できるだけ速やかに動物病院に行くようにしてください。
《Point 》
◆尿の色がコーヒーの色のように極端に濃くなったり、赤い色をしている時:膀胱炎や中毒、ケガ。
◆排尿に時間がかかり過ぎたり、何度も排尿姿勢をとる、ポタポタと尿を漏らす時:膀胱炎や尿路結石症、時には腫瘍。
◆排尿姿勢を長くとっているにもかかわらず尿が出ない時:緊急事態。できるだけ速やかに動物病院に行くようにしてください。
(10)皮膚
健康な犬の毛は、光沢がありきれいです。
また、においもほどんどなく、触るとなめらかな肌触りは人間も幸せにします。
皮膚の健康状態が悪くなると、皮膚がかさかさになり、フケも多く毛に光沢がなくなり、バサバサとして抜けやすくなります。これは栄養素が脳や心臓など大切な臓器に優先的に回されるので、もし栄養分が足りなくなると皮膚への栄養分がカットされるからです。
さらに、カロリーオーバーや栄養バランスの偏りがあると、皮膚があぶらぎってべたべたした感じになり、独特のにおいがします。
このような症状が見られた時には、食事の内容と量をチェックする必要があるでしょう。
また、皮膚にはしこりができることが多いのです。
しかし、このしこりは外から触っても、それが化膿なのか腫瘍なのか、腫瘍でも良性か悪性かなどは分かりません。適切な検査を受けることが病気の早期発見につながるのです。
(11)体温・呼吸
平均的は体温は直腸温で38.5〜39.5℃といわれています。
しかし、一般の家庭では肛門で測る直腸温は難しいかもしれません。
そのような時には日ごろから脇や股で測っておくことをお勧めします。決まった場所で体温をチェックしておいて、その体温から上がったかどうかを判断したらよいでしょう。体温と呼吸数は関係しています。熱が出ると呼吸数は増加し、呼吸数が増加すると体温も上昇します。安静にしているのに呼吸が速くなったり、咳やきつそうな様子を伴う時には、できるだけ早めに病院へ行ってください。咳は気道に溜まったタンを外に出すために必要な働きですから、2〜3度の咳であわてることはありません。
しかし、ゼンソクのように咳が一晩中続くようであれば速やかに動物病院で診察を受けてください。
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