
こんな時どうする?
「あっ、足からたくさんの血が出てる」
あなたなら、こんな時どうしますか?
ほとんどの飼い主さんなら、かかりつけの動物病院に連れていくでしょう。
しかし、飼い主さんしか犬を助けることができない状況だったらどうでしょうか。
このような場合、正しい状況判断で適切な応急処置をすることも飼い主さんの役割です。
どんな場合でも落ち着いて応急処置ができるよう、普段からシミュレーションをしてみてください。
〜愛犬を守る正義の味方〜
愛犬の生命を守るのは、一番身近にいる飼い主さん自身です。でも、難しく考えることはありません。犬の病気の多くは予防でき、事故も管理で防ぐことができるのです。
そこで、健康的な生活を送るために把握しておきたい、基本的な病気の予防対策を紹介します。
● フィラリア予防とノミ・ダニ駆除
犬が蚊に刺されると、フィラリアという糸のような虫が心臓や肺の血管に寄生します。
フィラリア症は元気だった犬が突然死んでしまうほどの怖い病気です。
この病気はかかりつけの動物病院で診察を受け、毎月1回忘れないように予防薬を飲ませるだけで防ぐことができます。
どのくらいの期間予防するかは動物病院で相談してください。
ノミやダニは痒みを引き起こし、アレルギー性皮膚炎の原因にもなります。
特に春先から秋にかけて活動が盛んになるため、動物病院で駆除剤を処方してもらうのが一番効果が高いでしょう。
● ワクチン接種
大切な愛犬を怖い伝染病から守るために、ワクチン接種を受けさせましょう。
ワクチンは、生後50〜60日頃までに1回目、その1ヶ月後に2回目の予防接種を行うのが一般的でした。
しかし、最近では生後4週齢くらいから接種ができるワクチンが出るようになり、より適した時期に子犬を外に連れ出せ、社会化を進めることができるようになりました。
怖い伝染病から安全に過ごすためにも、今後の愛犬の性格を決める上でも、1回目のワクチン接種時期は大切なのです。
その後は1年に1回の追加接種をしていきます。
● 健康診断
愛犬との幸せな生活をより長く過ごすためには、異常をできるだけ早く見つけてあげることが大切です。
そのためには、1年に1回は動物病院で健康診断を受けるとよいでしょう(8歳を過ぎた高齢犬は半年に1回が目安)。
健康診断には血液検査、尿検査、検便、レントゲン検査などがあります。
飼い主さんが異常を発見した時というのは、実は病状がかなり進行している場合が多いものです。様子がおかしい時だけでなく、健康な時にも動物病院に足を運ぶ習慣をつくってください。
*内服薬の代表的なタイプ*
錠剤・粉薬・カプセル
(※その他にシロップ薬やチュアブルタイプもあります。)
オスワリもフセも完璧なのに、薬を出したら断固拒否。それどころか後ずさりをして遠くへ逃げていく。
そこまで露骨に態度で示されると、飼い主としてはかなりくやしい!
だから、薬の時間でさえ“楽しい時間”にする工夫が必要なのです。
ここでは“薬ギライ”からの脱却を考えてみましょう。
●薬は別腹にする!?作戦●
Lesson.1 楽しい時間
トレーニングでの成功のごほうび(トリーツ)の代わりに薬を使ってみる方法です。
「よくできたね〜」と猫なで声でほめながら薬を1粒。しっかり飲めたらまたほめる。
これを投薬の度に繰り返すことで、薬を飲む→ほめてもらえる、という流れができます。
どうしても口にしない場合は、粉薬なら無糖ヨーグルトなどに付け、錠剤やカプセルならトリーツに混ぜて一緒にあげるなどの二次対策を!
Lesson.2 フードに混ぜてゴクリ
定められた回数・時間に薬を与える場合、食事の時間を基本にすれば忘れることはないでしょう。
無糖ヨーグルトやカッテージチーズなどに薬を混ぜ込むと、苦い薬でも飲みやすくなります。
薬だけを残したり吐き出したりすることもあるので、最後まで観察して飲み残しがないかの確認が必要です。
粉薬やシロップ薬は犬用ミルクや水によく溶かして与えることもできます。
※フードに混ぜたり牛乳などに溶かして与えても効果が変わらない薬かどうか、動物病院に確認してみてください。
Lesson.3 薬はとっておきの大好物
あなたの愛犬の大好物はなんですか?どうしても薬が飲めないような場合、好きな食べ物と組み合せます。
目の色が変わるほどのとっておきの大好物があるならば、それを普段のおやつとして与えるのは控え、薬を飲ませる時にだけ使うようにしてください。
薬を隠すように埋め込んで与えれば、薬に気づかずにゴクリ。
薬の時間がおいしい時間に!
ただし、少量で止めることがポイントです。
※それでも・・・・錠剤をどうしても飲みたがらない場合
1)左手で犬の上顎を持ち上げて、少し仰向けにします。
2)右手で下顎を押し下げてすばやく舌の奥の方に錠剤を押し込みます。
3)口を閉じてノドをさすってあげます。
4)飲むことができたらほめましょう!
爪切りをしていて深爪をした程度のものから、交通事故などで大出血を起したものまでいろいろな出血があります。
出血をすると犬は興奮してじっとしていないために、いったん止まった血が再び出ることも多いので注意してください。次のような止血処置をしてから、そっと病院に運んでください。
《こんな時こうする!》
1)落ち着いて出血の場所を確認
*ティッシュで血をふき取って、すぐそのあとを見ること。ジワッとにじんできたところから出血。もし分からない場合には血が付いている一番胴体(中心部)に近い場所が出血場所。
2)応急手当
*出血が少ない時には水道水で洗って汚れを落とす。
*ガーゼやハンカチなどで出血している場所を5分間押さえる。
*足からの出血は出血している部分より心臓に近い部分に、包帯や手拭いを巻いて強くしばる。
*さらに出血する時には巻いた包帯の内側に棒を入れてねじる。
※絶対にしてはいけないこと!!!!
飼い主さん自身がバタバタと興奮しないようにします。
飼い主さんが興奮すると、犬も興奮し血圧が上がって出血しやすくなります。
そのためにはゆっくりと行動し、大きな声を出さないようにしてください。
台所のゴミなんて当たり前!
食欲旺盛な犬は、竹串やピンを食べてしまったり、農薬や石油といった毒物まで飲んでしまうことがあります。
想定外のものを食べたり飲んだりしないようにするのは飼い主の役目ですが、もしも飲んでしまった時、どんな救急方法をとればよいのでしょうか?
《こんな時こうする!》
1)全身状態のチェック
*呼吸をしていない時は人工呼吸(別途紹介)と急いで、動物病院へ連絡を。
2)口の中チェック
*歯と歯の間や上顎に何か引っかかっていないか。
3)飲み込んだものを確認
*尖っているのか、丸いのか?*硬いのか、軟らかいのか?*その大きさは?
《 Point 》
飲み込んだものと同じものがあれば見本として動物病院に持って行きましょう。
4)応急手当
*ノドに詰まった時には、小型犬では両方の後ろ足を両手で持ち、逆さにして10秒程度、左右に振ったり、縦に上げ下げする。
*中型犬以上の大きさの犬では横に寝かせて胸を軽く押して息を吐かせる。吐かない時にはお箸の反対側の太い方や先の丸いポールペンなどで奥に押し込む。吐かせて安心なものならば、オキシドールを2倍に薄めた水を大さじ1〜2杯、またはティースプーン1杯の食塩を飲ませて吐かせる。
※絶対にしてはいけないこと!!!!
針やピンなど鋭利なもの、プラスチックなどの角の尖ったものは吐かせてはいけません。
また、意識がない時やけいれんが見られる時も吐かせずに、すみやかに動物病院へ。
大型犬のやけどが増えてきました。
例えばコンロに前足をかけ、鍋のお湯や油をかぶることなどです。
キャンプの残り火の上を歩いたり、炎天下のアスファルトを散歩してパット(肉球)がやけどすることもあります
《こんな時こうする!》
1)周囲の安全を確保
*新たにやけどをしないように原因を取り除く。
2)意識状態を確認
*意識がなければ呼吸を確認。*呼吸をしていない時は人工呼吸(別途紹介)と急いで、動物病院へ連絡を。
3)応急手当
*すぐにシャワーなどで水を流しながら患部を冷やす。
*流し水が無理な場合には冷やしたタオルやビニール袋に入れた氷を使う。
*広範囲にやけどをしている場合は、お風呂やタライを利用し体ごと水につける。
《 Point 》
目に見える場所よりもさらに広範囲に冷やすこと。
5分程度冷やし、体が冷えたらそれ以上は冷やさないこと。
※絶対にしてはいけないこと!!!!
クリームや消毒剤などは塗ってはいけません。
やけどは痛いので興奮した犬に噛まれるおそれもあるため、むやみに触らないように!
もともと暑さに対応しにくい犬たちにとって、高温多湿の日本の暑さはとてもこたえます。
絶対に車の中や風通しの悪い場所に犬を置くことは避けてください。
特にパグやシー・ズーなどの短頭種は簡単に熱射病になってしまいます。
他の種類の何倍も注意してあげてください。
《こんな時こうする!》
1)呼吸はしているか
*呼吸をしていない時は人工呼吸(別途紹介)と急いで、動物病院へ連絡を。
2)体温を測る
*直腸で測れなければ耳を触って体温を自分の手で確認する。
3)応急手当
*すぐにシャワーなどで冷やす。
*できれば冷たい水をはった風呂やタライにつける。
*濡らしたタオルで包み、扇風機などで風を当てる。
*落ち着いたら病院で治療を受けること。
《Point》
◆熱射病の応急処置
*とにかく早急に冷たい水をかけること!
※絶対にしてはいけないこと!!!!
水のガブ飲みは禁物です。与える時には少しずつ与えてください。
できれば、氷または氷で冷やした冷たい水があればよいでしょう。
ひと口にけいれんと言っても、目の周りがピクピクする程度の軽いものから、突然に倒れて全身がつっぱり、ガタガタと音を立てて震えるものまで、いろいろな程度のものがあります。
特にけいれんを起こす直前に何をしていたかを記録しておくことは、けいれんの原因を特定する上でとても大切です。
《こんな時こうする!》
1)呼吸はしているか
*呼吸をしていない時は人工呼吸(別途紹介)と急いで、動物病院へ連絡を。
2)原因と考えられるものを探す
*口の中をチェックして、口臭・ヨダレ・出血や粘膜の赤みがある時、または舌が正常に動かない時は毒物を飲み込んだおそれがある。
3)安全の確保
*ぶつかってケガをしないように周りを片付ける。
4)応急手当
*明かりを消し暗くして、経過を静かに見守る。
*バスタオルなどを用意して頭から覆いバタバタしないようにする。
*けいれんが始まった時の時間を記録しておくこと。
*5分以上けいれんが続いている場合にはすみやかに動物病院に行くこと。
※絶対にしてはいけないこと!!!!
刺激するとけいれんが悪化するので、声をかけたり触ったりしない。
犬は人間と違って舌を巻き込んで呼吸が止まることはほとんどないので、犬の口には絶対に手や物を入れない。
室内犬、特に何でも噛む子犬に多いのが電気製品のコードを噛み破っての感電事故です。
高電圧の外国と違って、日本の電流は低電圧なので感電して命を落とすことは少ないのですが、それでも口や舌をやけどしてしまいます。
電気製品のコードはコードカバーなどを使って保護しておくのがよいでしょう。
(子犬にとっては遊び道具にすぎない電気コード。気を紛らわすおもちゃの用意で対策を!)
《こんな時こうする!》
1)犬の体に触らないで、まずコンセントを抜く
2)全身状態のチェック
*呼吸をしていない時は人工呼吸(別途紹介)と急いで、動物病院へ連絡を。
3)応急手当
*くちびるや舌にやけどがある場合はルゴール液で消毒する。
*呼吸困難がある場合には
・スポーツ酸素などがあればすぐに与える。
・オスワリの姿勢を取るようにさせる。
・エアコンなどを使い、乾燥した空気が当たるようにする。
※絶対にしてはいけないこと!!!!
直後は食べ物や水を与えない。
犬は人間の3歳児と同じ程度の判断能力しか持っていないため、事故に遭わないように人間が注意してあげなければいけません。
不幸にも交通事故に遭った時には、すぐに病院に電話をして指示を受けてください。
事故現場に獣医師が出掛けてもできることはほとんどありません。
(ノーリードは危険です。必ずリードを着けて外出しましょう。)
《こんな時こうする!》
1)周囲の安全を確保
*事故の関係者全員にさらなる危険はないか、事故現場が他の車から分かるようにしてあるか。
2)意識状態を確認
*意識がなければ呼吸を確認。呼吸をしていない時は人工呼吸(別途紹介)と急いで、動物病院へ連絡を。
3)応急手当
*ケガがさらにひどくなるのを防ぐため、犬が何かに接触しないよう安全な場所を確保する。
*出血が見られたら、出血の項目を参照。
*バスタオルや毛布などで包み、段ボールなどに入れて病院へ運ぶ。
※絶対にしてはいけないこと!!!!
ケガをした犬の口元に手や顔を近づけてはいけない。
犬自身で楽な姿勢をとっているため、無理に姿勢を変えない。
抱いていて落としたり、ベランダからの落下事故や布団の中に寝ているのを知らずに踏みつけてしまったり、重いドアに挟まれたりする事故が後を絶ちません。
このような時に一番障害を受けるのは肺で、次が脳です。呼吸状態と意識状態には十分注意してください。
時には関節に近い場所での骨折も見られます。
《こんな時こうする!》
1)名前を呼んで反応を見る
*尾を振るなどの反応がなければ呼吸を確認。
呼吸をしていない時は人工呼吸(別途紹介)と急いで、動物病院へ連絡を。
2)応急手当
*出血が見られたら、出血の項目を参照。
*落下や圧迫では数時間して呼吸困難が起こることがあるので、速やかに病院へ行く。
※絶対にしてはいけないこと!!!!
動くと呼吸が苦しくなることがあるため、無理に動かそうとしないこと。
手足がぶらぶらしていてもむやみに包帯を巻いたりしない。
◎どんな事態も迷わずに!応急処置の基本◎
応急処置の基本を覚えましょう。
1分1秒が命取りになる緊急事態で、一番大切なことは何でしょうか?
動物病院に運ばれるまでに要する時間を考えると、早い段階に行う家庭での応急処置が状況を左右します。
ここでは飼い主さんなら誰でもできる処置方法を簡単に説明しましょう。
D…Danger(危険)まず冷静に
*落ち着いて周りを見回し、自分と犬との安全を確保します。
*周囲の人に声をかけ協力をあおぐようにします。
R…Response(反応)反応があるか
*いきなり手を出して犬の体に触ってはいけません。
*名前を呼びかけてその反応を確認し、犬を落ち着かせます。
A…Airway(気道)呼吸をしているか
*胸が上下に動いているかを目で確認します。
*動いてなければ胸を1回ぐっと押してみてください。
B…Breathing(呼吸)人工呼吸法
*呼吸が止まっていたら5秒に1回胸全体を手のひらで押します。
押したら手をパッと放して自然に胸が膨らむようにします。
*指で輪をつくり、犬の鼻を手で覆うようにして息を吹き込むことも有効です。
C…Circulation(循環)心臓マッサージ法
*意識が戻らなければ胸の位置に手を置いて心臓が動いているかどうか確認してください。
*心臓が動いていなければ心臓マッサージをします。
肘を折り曲げた時に肘が胸に当たる場所が心臓の位置です。
その位置を手のひらで1分間に60回押します。
*犬の腕を胸の位置まで折り曲げると、そこに心臓があります。
ふだんから最低3ヵ所の救急連絡先を記録しておくとよいでしょう。連絡せずに行くと不在であちこち回らないといけなくなり、かえって愛犬の負担が増します。必ず電話で連絡をしてから動くようにしてください。
《Point》
◆信頼できる動物病院の連絡先を記入し、保管しておきましょう。
救急病院連絡先(動物病院名 担当医師 電話番号 緊急対応時間)
◆運ぶ時には飼い主さんがケガをしないように十分注意してください。
落ち着いている時にはやさしく声をかけながら、大きいバスタオルや飼い主さんの衣服で包み込むようにして抱き上げて車に乗せます。興奮している時には、梱包用ロープやネクタイなどで口輪をして運びます。横たわって意識がない時には、バスタオルや段ボールをタンカ代わりにするとよいでしょう。
◆緊急事態が起こったら
1)心を落ち着け、冷静に状況を観察する
*周りを確認:犬と人間双方の安全。
2)安全な場所に移動し、必要なら応急処置
*応急処置の基本で応急処置。
3)動物病院に電話連絡
*かかりつけなら名前とカルテ番号を告げる。
*どこでどうしたか?
*現在のようすや状態(意識はあるのか、あるけるのか)。
*どこでどうするべきか指示をあおぐ。
4)注意して運ぶ
*やさしく声をかけて愛犬を落ち着かせる。
*落ち着いている時は大きいバスタオルや飼い主さんの衣服で包み込むようにして抱き上げて車に乗せる。
*興奮している時には落ち着くまで待つ。
*痛みで噛みつく時には、梱包用ロープやネクタイなどで一時的に口輪をする。
*横たわって意識がない時にはバスタオルや段ボールをタンカ代わりにする。
◎犬と人間の年齢比較◎
中・小型犬は成犬になるまでの成長は早く、老化は8歳頃から始まります。
大型犬では成犬になるまでの成長はゆっくりですが老化は早く、6歳頃から始まります。
現在の犬の平均寿命は約12歳と考えられていますが、大型犬はより短命で10歳前後、逆に小型犬では13歳くらいだと思われます。ギネスブックによると犬の公認長寿記録は、オーストラリアの牧羊犬で29年5ヵ月生きたとされています。
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